2025年09月01日

【掌編】齊藤想『ビールおじさん』_ChatGPT85点

小さな小さな文学賞vol2に応募した作品その1です。テーマはもちろん「ビール」です。

公募主催者がビール会社なので、「とにかくビールを飲むシーンを入れよう」と単純に考えて書いた作品です。
普通に飲むのはありふれているので、昼間からビール、しかも謎のおじさん、というワードを入れてみました。
オチは、この設定ならこれしかないかなあ、という流れです。
ただ公募主旨として「最優秀賞作品をもとにBeer Cafe Laugh'inがビールを作製する」というのを完全に忘れていました。
この作品でビールを作れるか、と言われると完全に違います。
公募主旨をちゃんと考えましょう、という教訓を忘れないように(汗)

こんな感じで、具体的な技法を無料ニュースレターで紹介します。
次回は9/5発行です。



・基本的に月2回発行(5日、20日※こちらはバックナンバー)。
・新規登録の特典のアイデア発想のオリジナルシート(キーワード法、物語改造法)つき!

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『ビールおじさん』 齊藤 想

 高校卒業後、人手不足の波もあって、だれもが知る一流企業に滑り込めた。けど、どうしても職場の雰囲気に馴染めない。机を並べているのは、ひとまわり年上のお局ばかり。若さへのやっかみか、それとも男性の目が奪われるとの危機感からか、小言ばかり浴びせてくる。
 だから昼食はひとり公園のベンチ。そのベンチに、昼間から赤ら顔をしているスーツ姿の中年男性が千鳥足で近づいてきた。
 おじさんは私の隣で、ビール臭い息を吐いた。
「そんなに暗い顔をしなさんな。一緒に飲めば、パーッと忘れられるさ」
 初対面なのに、おじさんは缶ビールを勧めてくる。私はどう対処していいのか分からず、無視を決め込む。それでもしつこく絡んでくるので、食べかけのお弁当を閉じて移動しようとしたら、おじさんの指が伸びてきた。
「お、それおいしそうだな」
 おじさんの毛だらけの指に、から揚げが挟まれる。レンチンのから揚げは、そのままおじさんの口の中に吸い込まれていく。
「食べ物を粗末にしたらいかんぜよ。それにしても、から揚げはビールのつまみに最高だな」
 おじさんは再び缶ビールを開けると、豪快に喉に流し込む。新しい缶ビールを私に押し付けてくる。
「ほら、お嬢さんもどうかね。まだ冷えているぞ」
「私は仕事中ですから、けっこうです。それでは失礼します」
 私は強引に立ち去った。
 今日はたまたまタイミングが悪かった。そう思っていたのに、次の日も、また次の日も、おじさんは缶ビールをもって現れる。
 このビールおじさんのせいで、私は公園に行けなくなった。しかたなく社内でお弁当を開くようになり、職場にいる時間が増えたら、自然と同僚とも溶け込むことができた。
 いままでの私は、構え過ぎていたのかもしれない。
 あのビールおじさんと話してみよう。そう思って、ときおりビルの窓から公園を見下ろす。けど、ビールおじさんの姿は、まるで過ぎ去った季節のように、戻ることはなかった。

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posted by 齊藤 想 at 21:00| Comment(0) | 自作ショートショート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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