2025年01月13日

【SS】齊藤想『ライオンと象』

少しづつ公開している応募作がなくなった作品のひとつです。愛媛新聞超ショートショート用に書き溜めていた作品です。
アイデアとしてはダジャレです。
何度か書いていますが、ダジャレはできるだけ元の言葉から離れるのが良いです。そう意味では本作では離れ方が足りません。
ということで、具体的な技法はこちらの無料ニュースレターで紹介します。次回は2/5発行です。



・基本的に月2回発行(5日、20日※こちらはバックナンバー)。
・新規登録の特典のアイデア発想のオリジナルシート(キーワード法、物語改造法)つき!

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『ライオンと象』 齊藤想

 地元の動物園は、ライオンと象のエリアが並んでいる。
 意中の正志君と初めてのデートの日。なぜか「ライオンと象の前で待ち合わせ」と指定された。
 普通は動物園の入口か駅だろうと思ったけど、何かのサプライズかもしれない。
 私は時間通りにじっと待つ。正志君は来ない。1時間がたってベンチに座る。2時間たって芝生に腰を下ろす。
 陽が傾きかけてきた。私は悲しくなった。実は少し気が付いていた。私は女性としての魅力が少ない。ライオンのような顔をしているし、象のように大きい。
 ライオンと象の前で待ち合わせ、というのも揶揄されただけなのだ。
 閉園時間が近づいてきた。もう諦めよう。そう思って立ち上がろうとしたときに、若い男性が全力で走ってくるのが見えた。
 正志君だ。正志君は息を切らしながら、こう言った。
「ライオンの像の前で待ち合わせしたはずなのに、いないから、もしかしてと思って」
「ライオンの像?」私は携帯を見た。何度も着信が入っている。
「そう、デパートの前だ。それがまさか動物園と勘違いするなんて。せっかくだから、ナイトズーのチケットを取っておいたけど、夜も大丈夫だよね?」
 私は小さくうなずいた。
 素敵な夜になりそうだった。

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posted by 齊藤 想 at 21:00| Comment(0) | 自作ショートショート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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