少しづつ公開している応募作がなくなった作品のひとつです。愛媛新聞超ショートショート用に書き溜めていた作品です。
アイデアとしてはダジャレです。
何度か書いていますが、ダジャレはできるだけ元の言葉から離れるのが良いです。そう意味では本作では離れ方が足りません。
ということで、具体的な技法はこちらの無料ニュースレターで紹介します。次回は2/5発行です。
・基本的に月2回発行(5日、20日※こちらはバックナンバー)。
・新規登録の特典のアイデア発想のオリジナルシート(キーワード法、物語改造法)つき!
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『ライオンと象』 齊藤想
地元の動物園は、ライオンと象のエリアが並んでいる。
意中の正志君と初めてのデートの日。なぜか「ライオンと象の前で待ち合わせ」と指定された。
普通は動物園の入口か駅だろうと思ったけど、何かのサプライズかもしれない。
私は時間通りにじっと待つ。正志君は来ない。1時間がたってベンチに座る。2時間たって芝生に腰を下ろす。
陽が傾きかけてきた。私は悲しくなった。実は少し気が付いていた。私は女性としての魅力が少ない。ライオンのような顔をしているし、象のように大きい。
ライオンと象の前で待ち合わせ、というのも揶揄されただけなのだ。
閉園時間が近づいてきた。もう諦めよう。そう思って立ち上がろうとしたときに、若い男性が全力で走ってくるのが見えた。
正志君だ。正志君は息を切らしながら、こう言った。
「ライオンの像の前で待ち合わせしたはずなのに、いないから、もしかしてと思って」
「ライオンの像?」私は携帯を見た。何度も着信が入っている。
「そう、デパートの前だ。それがまさか動物園と勘違いするなんて。せっかくだから、ナイトズーのチケットを取っておいたけど、夜も大丈夫だよね?」
私は小さくうなずいた。
素敵な夜になりそうだった。
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2025年01月13日
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