第1回NIIKEI文学賞に応募した作品その2です。
本作はだじゃれネタです。主催者が新潟経済新聞で、テーマが新潟なので、
新潟 → 上杉謙信 → けんちん → けんちん汁
という発想です。具体的な技法はこちらの無料ニュースレターで紹介します。次回は8/5発行です。
・基本的に月2回発行(5日、20日※こちらはバックナンバー)。
・新規登録の特典のアイデア発想のオリジナルシート(キーワード法、物語改造法)つき!
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『謙信汁』 齊藤 想
大学はいろいろな出身地の人間が集まるから楽しいなあ。
おれの故郷の新潟と言えば上杉謙信。せっかくおれのアパートにゼミ仲間が集まったのだから、お前らに新潟県の郷土料理、謙信汁をふるまってやろう。
そんな料理は聞いたことがないだと?
意外と有名な料理なのにおかしいな。お前の出身地は東京か。そっちは埼玉か。関東では知られていないのかもな。我が家では週1回食卓に上がっていたメジャー級の母の味だ。ちなみにうちの母は東北出身だ。
さて、謙信汁だが、これは根菜中心の汁物だ。
大根、にんじん、ごぼう、里芋、ネギをごま油で炒め、次にだし汁と豆腐を入れて煮込み、最後に醤油で味を調える。この辺りの味付けは家庭で異なるが、あっさりめに作るのが我が家の味だ。最後に飾りというわけではないけど、うちは花かつおを掛ける。花かつおが湯気に揺られて踊るさまが、まるで川中島の決戦で火花を散らす武士みたいだろ。これぞ謙信汁の由来だ。新潟には平野も海もある。これは新潟こその味だな。
一人暮らしは野菜不足になりがちだ。たっぷり食べてくれ。
できたての謙信汁をひとくち食べた友人から、声が上がった。
「うまいけど、これってけんちん汁では?」
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R06.10.16追記
『にいがたショートストーリープロジェクト投稿作品』
なお、投稿にともない、若干修正しました。
2024年07月01日
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