有名な神話を大胆に人間物語に描きなおした快作です。
トロイは小アジアにある都市です。
発掘調査の結果、大規模な戦闘が行われた可能性が高いことが判明しましたが、戦いの詳細については神話しか伝わっていません。
映画の主役は『イーリアス』と同じくアキレスですが、映画では神ではなく人間として扱われます。
アキレスは誇り高い武人で、めっぽう強いが自分の意に沿わないことには従わない面倒な人物です。
映画はトロイの二人の王子が、ギリシャと和解のためにスパルタに向かい無事に宴が終わりますが、なんと弟(パリス)がスパルタ王の妻と恋仲になって連れ去ってしまいます。
スパルタ王は怒り、兄のミュケナイ王アガメムノンと一緒になりトロイに攻め込みます。
アガメムノンは、これを機にトロイを支配下におさめようとします。
ところがトロイは「神がついている」と信じて現実を見ません。
唯一、パリスの兄ヘクトルが現実主義者で対策を主張しますが父によって却下されます。
それで戦いが始まりますが、ギリシャが神殿に攻め込み、そこで捕虜にした巫女とアキレスが恋仲になります。
巫女はトロイ王の一族です。
アキレスが従弟を殺されたと怒りますが、その従弟を殺したのは恋人の従弟です。
このシーンで、アキレスは自分の生き方に疑問を持ちますが、従弟の敵討ちのために恋人の従弟ヘクトルに一騎打ちを挑み、倒し、しかも死体を戦車に挽かせて持ち帰ります。
悲しむ恋人。その夜、密かにヘクトルの父、つまりトロイ王がやってきて、アキレスに死体を引き取るための慈悲をこいます。アキレスはトロイ王の願いを許し、恋人もトロイに送り返します。
このシーンが、アキレス戦死へと繋がります。
こうした戦争のむなしさ、戦いが続くことの悲しさが描かれます。
もちろん有名なトロイの木馬のエピソードもあり、最後はトロイは滅び、アキレスはパリスに弓で射殺されて、恋人はパリスと逃亡します。
アキレスは自分の死で、やっと安らぎが来たことを悟ります。とても悲しい人生です。
アキレスは火葬に付されて、物語は伝説となり、映画は終わります。
映像を見ただけで、かなりの製作費がつぎ込まれているのが分かります。セットも大掛かりだし、CGも少な目(だと思う)なので、迫力があります。
戦闘シーンも沢山の兵士が剣を振るいますし、有名なトロイの木馬もかなりの大きさです。
古代ギリシャの戦車にしても、騎兵にあぶみがないことにしても、兵士の鎧にしても、ディティールの時代考証はしっかりしている印象を受けました。
こうした映像を見ているだけで楽しめます。
この映画は評価が割れたようですが、それは『イーリアス』との違いをどう考えるかによると思います。
本作はファンタジーなので、素直に時代映画として観れば高い評価、歴史映画としてイーリアスの改悪と観れば悪い評価になるのかなと思います。
ぼくは素直に時代映画として観る派です。
製作費1億75百万ドルをかけて、興行収入4億97百万ドルの大作にふさわしい金額を稼ぎ出しました。
『イーリアス』をモチーフにした映画を楽しみたいひとのために!
2025年01月05日
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