2026年02月15日

【書評】塩野七生『愛の年代記』

中世ヨーロッパにおける女性たちの物語です。

愛の年代記 (新潮文庫)

愛の年代記 (新潮文庫)

  • 作者: 七生, 塩野
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1978/03/29
  • メディア: 文庫


収録されている作品は9編です。
その中で、特に傑作なのは『女法王ジョアンナ』です。
これは9世紀の法王ジョヴァンニ8世が女性だったという説話に基づいています。
女性は法王になれないため、男装のまま押し通して35歳で法王になります。
しかし、ここで恋に落ちてしまい、妊娠し、ミサの途中で出産してしまいます。
「奇跡だ!」で胡麻化そうとしたところは笑いそうになりました。
『パンドルフォ』の冒険は、中国の説話のようです。
不倫の話なのですが、女性が助からない病に倒れ、恋人が他の女性に向かうのが許さないとばかりに、策略をたてて大きな箱に閉じ込めてしまう話です。
そして女性は、夫に涙ながらに「この箱をお墓に一緒に埋めてください」と最後のお願いをします。
間男は飛び出たら殺されるし、かといってこのまま埋められても死んでしまう。
意外性があり、かつ人間臭いオチも光っています。
『エメラルド色の海』はトルコの海賊ウルグ・アリに、王女の身代わりとして謁見した女性の話です。
身代わりの気持ちを一番わかってくれたのが、敵であるウルグ・アリだったという話は泣けますし、安全なところから揶揄する人間の醜い部分が上手く表現されています。
いろいろなタイプの話があって楽します。

中世ヨーロッパの話を読みたいひとのために!
posted by 齊藤 想 at 12:00| Comment(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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