アトランタ五輪の会場近くで発生した爆弾事件を題材にした社会派映画です。
主人公は警備員のリチャード・ジュェル。
彼は警察官にあこがれますが、過剰な正義感から軋轢を起こし、職を転々としています。
そんな彼が警備員としてパート的に働いていたアトランタ五輪の近くの会場で、爆弾を発見します。
彼は人々を救った英雄として扱われますが、FBIが女性記者に「彼を捜査対象にしている」とリークしたことで地元紙がスクープ。
彼は爆弾魔として扱われ、警察の執拗な捜査が始まります。
という感じの映画です。
実によくできた映画です。
主人公はひとがよく、警察官にあこがれているだけに、警察の言うことを何でも信じてほいほい協力して返事もしてしまいます。
弁護士は、主人公と元同僚で、親しかった人物です。
彼が止めるのもにかかわらず、主人公は警察としゃべってしまいます。
なぜかというと、主人公は弱い人間だからです。法執行官という肩書があると強気に出ることができて、そのためにトラブルを巻き起こした過去がありますが、これはうわべだけです。
そんな彼がイライラからつい母親を叱責してしますのですが、そこで自分の弱さを自覚し、前向きに戦うことを決意します。
このシーンがミッドポイントであり、主人公の成長・覚醒を表しています。
こうした映画は、ついつい、容疑者が救われる側で弁護士がヒーローになりがちですが、本作では容疑者がメインで、容疑者を成長させているのが上手いです。
また弁護士も一流ではなく、どちらかというと二流、三流に入ります。それでも、事件を通じて怒りをぶつけることで、主人公に成長への起爆剤を与えるとともに、自らも成長していきます。
本作は登場人物が少ないです。だからこそ、ひとりひとりをクローズアップして描くことができます。
こうした構成も、好感が持てます。
監督はクリント・イーストウッドですが、本当にいい映画を撮ります。
製作費45百万ドルで興行収入44百万ドルと爆死しますが、アカデミー賞1部門ノミネート、ナショナル・ボード・オブ・レビューで3部門受賞など批評家からは高い評価を受けています。
クリントイーストウッド監督の隠れた名作を堪能したいひとのために!
2024年09月17日
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