古いガンコ親父の生きざまを語る映画です。
主人公のガンコ親父を演じるのは78歳のクリントイーストウッド。
朝鮮戦争で多くの敵兵士を殺し、その後はフォードの自動車修理工として働き、定年引退たいまは孤独な一人暮らしです。
極端に偏狭な人物で、人種差別主義者であり、男は男らしくという古い価値観の持ち主で、携帯電話も嫌いです。
ひとを寄せ付けず、誰にでも悪態をつくので、家族からも嫌われています。
亡妻の依頼で自宅に来た若い神父も、童貞と悪態をつき、追い出してしまいます。
彼の誇りは、1972年製のグラン・トリノ。
そんな彼のとなりに、主人公がイエローと侮蔑する東南アジア系の家族がひっこしてきます。
成り行きで東南アジア系の兄弟、タオと姉のスーを助け、その返礼にホームパーティーに呼ばれます。
イヤイヤでしたが、ビールに釣られて訪問すると、そこで文化の違いを知ります。家族に温かく迎え入れらることで、頑固だった主人公も徐々に考え方が変わります。
タオは贖罪のために主人公の家で手伝いをすることになり、そこの働きを見て、主人公はタオのことを見直します。
しかし、ギャングたちはタオへの嫌がらせを辞めません。
そこで主人公はギャングに制裁をするのですが、逆にギャングたちはタオの家に銃を乱射し、スーを強姦します。
タオは復讐に燃えますが、主人公はタオを地下室に監禁し、そして朝鮮戦争時の罪を告白して、ひとりでギャングの家に向かいます。
というストーリーです。
とてもいい映画です。
主人公は飾らないストレートな物言いをする人物です。
いわば”本音”の象徴というべきでしょうか。
一部の友人を除き周囲はすべて”建前”で生きていると思っていて、そのために神父を追い出し、家族とも疎遠になっていきます。
自分の心の城を守るために必死になっています。
それは、朝鮮戦争で受けた心の傷から自らを守るための行為でもあります。
ところが主人公が蔑視している東南アジア系のモン族スーは”本音”でぶつかってきます。
こうして主人公の心がほぐれ、癒されていく過程が描かれています。
ラストも予想通りですが、奇麗な終わりかたです。
自分自身以外に守るものをみつけ、タオとスーへの感謝を込めて、遺言で分身でもあったグラン・トリノをタオに遺贈します。
評論家の評価も高く、製作費33百万ドルに対して興行収入2億70百万ドルの大ヒットとなりました。
公開が2008年ですが、いまだったらポリコレ棒で叩かれて企画段階でボツになったかもしれません。
クリント・イーストウッドさまさまです。
クリント・イーストウッドらしい映画を楽しみたいひとのために!
2024年08月15日
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください