若き日のヒトラーを描いていますが、かなり史実と異なります。
若き日のヒトラーが画家を目指していたことは有名です。
ウィーン時代に2回受験し、2回とも失敗しています。
映画はこの2回目の受験前からウィーンを去るまでを描いています。
さて映画ですが、ヒトラーがウィーンに舞い戻るところからスタートです。
貧乏なのでユダヤ人が多く住む貧民街で下宿します。もちろんたこ部屋です。
そこで敬虔なユダヤ教徒である老人が、汝の敵を愛せよの気持ちで、ヒトラーに接します。
ですが、自意識の高いヒトラーは、感謝することもありません。
老人には若い恋人がいます。それに生活能力もありました。ヒトラーは劣等感の裏返してとして、彼に激しく嫉妬心を持つようになります。
そうした中で、ヒトラーはユダヤ人を嫌悪するグループと出会います。
画家の道を閉ざされたヒトラーは、老人から政治家を勧められ、急速にのめり込みます。演説の練習も始めます。
ヒトラーはついに恋人を老人から奪うと、老人を告発して刑務所に送り込みます。
その間に、老人が書いていた本「我が闘争」を探しますが見つけられません。
ヒトラーは刑務所から出てきた老人を攫うと、仲間たちを引き連れてミュンヘンへと進撃を始めます。
という感じです。
ヒトラーは画家を目指していたのは事実ですが、ミュンヘンへの移住は兵役拒否が目的とみられており、勇ましい進撃ではありません。
それに当時はまだ政治家を志していなかったはずです。
またヒトラーには父の遺産があったため無一文ではなく、クビツェクと共同生活を送っています。
2回目の受験失敗後には兵役拒否のため扶養者収容所に逃げ込みますが、このあたりの時系列とというか、かなりゴチャゴチャになっています。
あと映画ではヒトラーがユダヤ系であることが示唆されていますが、この説は近年になり否定されているようです。もっとも先祖が不明なので、断定されたかどうかは分かりませんが。
映画としては、史実に沿って描くより、若き日のヒトラーの人間形成に重点を置きたかったのかもしれませんが、それにしても歴史的事実を改変しすぎのような気がします。
個人的には大きな疑問符です。
若き日のヒトラーの映画を見たい人のために!
2024年06月11日
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