日本における「三国志」の底本になった傑作です。
連載は戦時中の昭和14年から昭和18年です。
吉川英治は中国の古典『三国志演義』を踏まえつつ『通俗三国志』や様々な資料を統合し、日本人の感覚にそぐわない部分を削り、さらに従軍記者として中国を歩いた経験も踏まえて、この作品を書き上げています。
原典をそのまま翻訳するのではなく、吉川流にかなりアレンジされています。
冒頭のシーンは吉川英治の創作ですし、さらに曹操も魅力的な人物に書き換えられています。
『三国志演義』は184年~280年にわたる長大な物語です。大勢の英雄が中国全土を暴れまわるスケールの大きな物語です。
それを諸葛孔明が病死する234年までで切り、また描写を簡潔にすることで、文庫8巻まで圧縮して読みやすくしています。
妖術の類も吉川流に科学的知見にて説明することで、より人間の叡智というか努力を際立たせています。
本作の影響力は非常に強く、その後の三国志において、吉川作品の影響をうけないものはないと思います。
後世の影響度といえば『宮本武蔵』にも匹敵する作品かと思います。日本における三国志のイメージを決定づけた傑作です。
吉川英治が書かなければ、日本でこれだけ三国志がメジャーになることはなかったと思います。
改めて三国志を読み返すと、やはり魏と蜀の国力の差が大きいのかなと。
人材も魏が豊富で、終盤になると孤軍奮闘する諸葛亮がかわいそうです。
吉川英治のすごさを堪能したいひとのために!
2025年09月02日
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