主演はトムハンクス。主人公のチャック・ノーランドは大手物流会社、フェデックスの社員として世界中を飛び回ります。
彼の仕事は生産性の向上で、絶えず時間に注意を促します。
その彼が飛行機事故で墜落し、無人島に流れ着きます。
最初は砂に文字を書いたり、木を並べたりして助けを求めようとします。水平線近くに船が通りかかったときは救命ボートで漕ぎ出しますが、高波に阻まれてあえなく失敗します。
助けを求めるのが無駄だと悟ると、生き抜くためにココナツを割り水分を求め、失敗を繰り返しながら火の起こし方を学びます。
流れ着いたフェデックスの箱を開いて使えそうなものは道具として使います。
彼の友達は、バレーボールだけ。ボールに顔を書き、ウィルソンと名付け、話し相手とします。
4年がたち、帆になりそうな道具が流れ着きます。
これを見てノーランドは勇気を振り絞り、いかだを組んで大海へと漕ぎ出します。
途中でウィルソンは流されます。
間一髪のところで貨物船に救われ、故郷へと帰りますが、恋人はノーランドが死んだと思いこんですでに結婚し、子供もいました。
ノーランドは彼女に別れを告げると、広大な大地で交わっている交差点で、どこに向かおうかと考えます。
という感じの話です。
基本的には「行って帰る」話ですが、本来帰るべき場所はすでになく、「行って帰ってさらに旅立つ」というストーリー構成になっています。
とにかく計算されつくされたディティールが素晴らしいです。
ラストシーンででてくる交差点は、物語の冒頭でもでてきます。そのときは荷物の配達途中で、向かう場所は決まっていました。
ラストシーンは同じ家に4年ぶりに荷物を届けた帰り道で、行く道は決まっていません。
こういう感じで、前半のシーンが後半でどんどん出てきます。
無人島でペンライトで恋人の写真を見るシーン、火を起こすシーン、貧相なカニをしゃぶるシーン。それぞれが無人島から脱出した後で、別の意味を持って登場します。
脚本としては、3の法則がよく使われています。
失敗→失敗→成功の流れですが、火を起こすシーンはまさにこれで、脱出を図るシーンも失敗(HELPの文字を書く)→失敗(救命ボートでの脱出)→成功となっています。
主人公のノーランドを演じるのは非常に難しかったと思いますが、トムハンクスは主役が乗り移ったかのように見事に演じ切り、素晴らしい俳優だと実感しました。
製作費9000万ドルで興行収入4億3000万ドルの大ヒット作です。
トムハンクスの名演技を堪能したいひとのために!
【関連する記事】