マルクス経済学を、著者の研究も踏まえて紹介、といったところです。
本のタイトルは『マルクス経済学』とありますが、マルクス経済学をそのまま紹介した本ではありません。
著者の研究、考えも入っています。
冒頭にその旨と、最後にマルクス経済学との差異を記載していますが、タイトルが紛らわしいかなと。
もっともタイトルを付けるのは編集部なので、著者の責任ではありませんが。
マルクス経済学の自分の素直な感想は、「べき論」で書かれており、現実にはそぐわないかな、という感じです。
分かりやすい例でいれば、「利潤は労働者の搾取である」という論があります。
もし利潤が搾取であるのならば、赤字企業は「労働者は資本家を搾取しているのか?」という話になってしまいそうです。
外部環境によって赤字になったり黒字になったりする企業は、同じ仕事をしていてもある日から「労働者を搾取」したこととなり、またある日から「資本家を搾取」することなるのか、とか、直感的には不自然だと感じます。
農地の地代の決まり方も、現実にそぐいません。
マルクス経済学では不動産鑑定で言うところの収益還元法で決まるとありますが、実際には地域の相場(要するに取引事例比較法)で決まっています。利子の決まり方も、現実とかなり違います。
そもそも、資本家と労働者という対立構造がどうかな、という感じがします。
現在の大企業は株式公開をしてるので、マルクス経済学が想定している資本家が存在しないといいますか。
マルクスの時代は労働者が劣悪な環境にあったので、そうした時代なら有意義な理論だったのかなと感じます。
あと、明治維新後の工場設立について「地主が小作人から搾取した地代が資本になった」みたいなことが書かれていますが、うーん、さすがにどうかと思います。
日本は江戸時代から貨幣経済が発達しており、資本を蓄積した大商人の資金が原資になったというのが定説だったかと。
歴史研究も進歩するので、もしかしたら変わったのかもしれませんが。
マルクス経済学を知りたいひとのために!
2025年07月31日
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