『源頼朝』というより『平家物語抜粋』という感じの昭和15年作の歴史小説です。
吉川英治は時代小説家としてデビューしました。
その後歴史小説に主題を移し『宮本武蔵』が大好評だったため、第2弾として執筆されたのが『新書太閤記』と『源頼朝』です。
本書は平治の乱に敗れた源氏一門が都から落ちるところから始まり、平氏が滅亡し、義経が頼朝に鎌倉入りを拒否される腰越状のところで終わります。
期間として中途半端な感は否めません。
頼朝の性格について、年少のころは無邪気な少年として描かれていますが、成長して計算高い理性的な人物に変化します。
この辺り、人物像も一定してないような気がします。
章によって主人公もいろいろ変わりますが、旗揚げしてからは、ほぼ源義経メインです。
源平合戦において頼朝は鎌倉からら動かず、義経メインになるのはやむを得ないのですが、頼朝が放置状態なのもどうかなあという気がします。
戦後に書かれた代表作『新平家物語』でも登場する金売りの吉次や、様々な挿話も本書に登場します。
そういう意味で、『新平家物語』に向けての準備作として読むのが妥当なのかもしれません。
家族愛や兄弟愛を無条件で強調しているのも、戦前の作品かな、という感じがします。
吉川英治ファンのために!
2025年07月06日
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