2025年07月03日

【書評】森茂暁『足利尊氏』

一次資料である当時の文書から、足利尊氏の実像を浮かび上がらせようと試みています。

足利尊氏 (角川選書)

足利尊氏 (角川選書)

  • 作者: 森 茂暁
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2017/03/24
  • メディア: Kindle版


足利尊氏の基礎資料といえば『太平記』ですが、軍記物であり全てを信用するわけにはいきません。
公卿の日記についても誤記があり、その他に資料についても相反する記述があります。
その一方で必要に迫られて発出した文書は確実であり、事実と認められます。
足利家は名門であり、当時から力が抜けていまし。しかし、足利尊氏がすんなりと足利家を継いだわけではありません。
正室の子である兄の高義が家督を継ぎますが、若年で急死したため父が現役復帰し、父は死ぬまで家督を譲りません。
高義の子が継ぐことを願っていたためとか、尊氏との関係が悪かったとかいろいろな説がありますが、尊氏の若年時の資料が非常に限られるため不明です。
その後、足利尊氏は鎌倉幕府を打倒し室町幕府を開き、観応の擾乱を乗り切り、幕府の基礎を固めていきます。

本書ですが、文書について様々な分析をしていますが、全体像が提示されていないため読みにくいです。
文書の性格、発出者の移り変わりで、権限の委譲状況などが見えてきますが、ただそれは全体の一部に過ぎないので素人的にはイメージがしにくいです。
本格的に足利尊氏について研究したい、マニア向けなのかもしれません。

少し変わった足利尊氏の本を読みたいひとのために!
posted by 齊藤 想 at 12:00| Comment(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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