- 作者: 加藤 廣
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2013/09/06
- メディア: Kindle版
本書は本能寺三部作では取り上げられなかったエピソードが取り上げられています。
収録されているのは３編です。
『藤吉郎放浪記』では、豊臣秀吉が織田信長に仕えるまでの物語を描いています。
才覚ひとつで成りあがる秀吉の若き日々ですが、論理的な才覚だけでなく不思議な術も交えて。子気味良い時代小説に仕上がっています。
『安土城の幽霊』は家康が信長に息子を殺された腹いせとして、信長に嫌がらせとして幽霊を見せる嫌がらせをしかける話です。
これも不思議な術が登場しますが、それが成功しないところがミステリタッチになっており、３編の中でこれが一番エンタメ性が高いと思います。
『つくもなす物語』は天下の名器、付喪茄子の物語です。
付喪茄子は現存し、静嘉堂文庫美術館に首脳されています。
著者にはいまに伝わる名器「青井戸茶碗 柴田」を題材にした『冥途の茶席』という中編がありますが、その作品にも通じます。
いずれも『信長の棺』と設定が共通しており、その作品を読んでからこの本を読んだ方が細かい部分の意味が分かり、楽しめると思います。
戦国時代を舞台にした中編時代小説を読みたいひとのために！
本好きの私に、とても興味深いブログです。
と、言いましても、最近は本離れかも...
老眼との戦いです (苦笑）