本能寺三部作のラストです。
明智左馬之助は明智光秀の重臣ですが、その正体は定かではありません。出自も様々な説があり、複数の別名が流布しています。光秀の従弟説もあります。
出自については著者は三宅氏説を取り、明智光秀の娘と幼いころから恋仲だったという設定で物語を始めます。
本書は左馬之助を語り手にして、秀吉との出世競争に明け暮れ、疲弊してく明智光秀を描きます。
明智左馬之介の見事さは、坂本城の明け渡しの逸話です。すでに光秀は山崎の戦いで敗北していましたが、坂本城に残る銘品を失うのは忍びないと、お宝を全て敵方に引き渡します。そして、自害しました。
本書は明智光秀と左馬之助から見た、本能寺を描いていきます。
それぞれのキャラクターや立ち位置がはっきりしており、光秀が真面目な秀才タイプであったために便利使いされて、疲弊していった様子が見えてきます。
著者独自の説もありますが、『信長の棺』『秀吉の枷』と続けて読んでいった読者なら、すんなりと納得できると思います。
本作は著者3作目ですが、1作ごとに文章が上達しているのが楽しいです。
明智光秀側から見た本能寺を読みたいひとのために!
2025年03月16日
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