2025年02月18日

【書評】中野京子『名画の謎 陰謀の歴史編』

人気シリーズの第3段です。


名画の謎 陰謀の歴史篇 (文春文庫)

名画の謎 陰謀の歴史篇 (文春文庫)

  • 作者: 京子, 中野
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2018/03/09
  • メディア: 文庫



表紙を飾るのはドラローシュ『ロンドン塔の王子たち』です。
日本人にはなじみの薄い事件ですが、これは王位継承権をもっているばかりにロンドン塔に幽閉され、殺された幼い兄弟を描いた作品です。
17作品が紹介されていますが、時代が重なっているので、自然と歴史の勉強にもなります。
ラファエロ『レオ十五世と二人の枢機卿』の息子が法王になった時代に、ティッチアーノ『カール五世騎馬像』で描かれたカール五世によってローマは略奪されます。
カール五世の息子がスペイン王フェリペ二世ですが、ジョージ・カヴァー『エリザべス一世』のイギリス女王エリザベス一世によって、アルマダ海戦で敗北します。
デューラー『メランコリアⅠ』という有名作もありますが、レーピン『トルコのスルタンへ手紙を書くザポロージャ・コサック』が印象に残ります。
レーピンはロシアの歴史画で有名ですが、とにかく登場人物の表情の豊かさが絶品です。
敵からの降伏勧告に、下品な手紙で返すために口述筆記をしているワンシーンを描いています。

絵画と一緒に歴史の勉強もしたいひとのために!
posted by 齊藤 想 at 12:00| Comment(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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