2025年02月16日

【書評】中野京子『名画の謎 旧約・新約聖書編』

中野京子による軽妙な絵画エッセイ、聖書編です。


名画の謎 旧約・新約聖書篇 (文春文庫)

名画の謎 旧約・新約聖書篇 (文春文庫)

  • 作者: 中野 京子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2018/08/03
  • メディア: Kindle版



紹介されているのは30作品です。
作品の背景となる聖書の物語がふんだんに記述されているので、自然とキリスト世界にも詳しくなります。
それにしても、中野氏の筆は容赦がないです。
「異教徒である」と明言しているかもしれませんが、アブラハムの非道さに言及すれば、天地創造の矛盾も指摘します。
とはいえ、ユーモアたっぷりの口調なので、異教徒としては面白いです。
キリスト教徒からは怒られるかもしれませんが。
有名な『バベルの塔』の作者がブリューゲルであることを初めて知りました。
カラバッジョ『キリストの召命』の明暗の鮮やかさは素晴らしいです。
ボッティチェリ『東方三博士の礼拝』はパトロンたちを登場させていますが、当時の集合写真の意味合い(しかも有名人との!)があったそうです。
ティッチアーノ『悔悛するグラダナのマリア』は、美しい金髪で体を隠しているような隠していないような感じで、とてもエロイです。
たぶん、それが目的なんだろうなあと思ったり。

聖書にまつわる絵画を楽しみたいひとのために!
posted by 齊藤 想 at 12:00| Comment(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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