一般には知られていない軍人、小沼治夫を紹介する本です。
小沼治夫はどちらかというと研究者肌です。
日露戦争の研究を命じられて、数字を分析したところ突撃のほとんどが失敗していることを突き止めます。
そこから、白兵戦を重視する従前の作戦に疑問を持ちます。
ノモンハン事件の研究を命じられて、火力不足、補給不足が原因と判断しますが、この意見が上層部に受け入れられることはありません。
また優秀な下士官の損耗が大きく、下士官の能力によって兵士の戦力が大きく変わることを訴えます。
日米戦が始まると、ガナルガダル島に派遣され、命からがら救出されると、今度はルソン島勤務になります。
これだけ火力・補給の重視を訴えてきたのに、ないもの尽くしの戦場では「精神力」に頼らざるを得なくなるところに悲しみを覚えます。
本書ですが、白井明彦氏の研究に大きく依存しています。
人物紹介ではなく、小沼治夫が現役時代にまとめた報告書のまとめみたいになっているのが、少し残念です。
知られざる軍人を知りたい人のために!
2025年02月13日
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