2025年02月09日

【書評】中野京子『名画の謎 対決編』

軽妙なトークで語る、名画シリーズです。


名画の謎 対決篇 (文春文庫)

名画の謎 対決篇 (文春文庫)

  • 作者: 京子, 中野
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2018/08/03
  • メディア: 文庫



今回紹介されるのは20×2=40作品です。
対決という意味ではジェリコー『メデュース号の筏』とコプリー『ワトソンと鮫』が目立ちます。前者が30年ほど後の作品になるのですが、もう、力量の差が一目瞭然です。
夫のへの思いを比べるモリゾ『ブージヴァルの庭のウジェーヌ・マネと娘』とレンピッカ『ある男の肖像』、仲良し夫婦を比べるルーベンス『ルーベンスとイザベラ』とレンブラント『酒場のレンブラントとサスキア』も興味深いです。
前者は幸せ家庭と離婚直前になっても夫と愛し続ける妻、後者はいかにも上流階級といった夫婦とざっくばらんな夫婦と色彩が分かれています。
絵もそれぞれ面白いのですが、リッピの解説がこれまた面白いです。
時代はルネッサンスの前になりますが、リッピは貧しいために修道院に入れられますが、神に仕える身とは思えないほど遊び惚けて子供までつくるしまつ。
しかし、絵の才能を愛したメディチ家に救われ、愛し合った修道女と一緒に還俗して活躍を続けます。
このリッピの弟子がボッティチェリで、そのボッティチェリがリッピの子供を弟子にとって鍛えます。
こうした人間関係も説明してくれるので、嬉しいです。

名画の話をいっぱい聞きたいひとのために!
posted by 齊藤 想 at 12:00| Comment(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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