2025年02月08日

【書評】中野京子『新怖い絵』

怖い絵シリーズの新章です。


新 怖い絵 (角川文庫)

新 怖い絵 (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2020/03/24
  • メディア: 文庫



取り上げられているのは20作品です。
絵の美しさでいえばミレイ『オフィーリア』です。シェークスピアのオペラ『ハムレット』のワンシーンですが、水死したオフィーリアが、美しい花に包まれながら、水面に浮かびます。
モデルはエリザベス・シダルで、実際に浴槽に浸かってもらったそうです。そして、モデルの後日譚も紹介されています。
絵のストーリーが分かると、驚く絵がたくさんあります。
レーピン『思いがけなく』は帝政ロシアのシベリアから戻ってきた夫の姿。マルティーノ『懐かしい我が家での最後の日』は競馬で破産した貴族の家族。フラナゴール『ぶらんこ』は不倫が文化だった時代の恋愛模様。
こうした知識があるのとないのとでは、絵の見方が全然違ってきます。
ミレー『落穂拾い』もJブルトン『落穂拾いの女たちの招集』と比較することで、革新性が理解できます。
とても素晴らしいシリーズだと思います。

絵画に隠された物語を知りたい人のために!
posted by 齊藤 想 at 12:00| Comment(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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