2025年01月16日

【書評】村上春樹『騎士団長殺し』

村上春樹14作目の長編です。


騎士団長殺し(第1部~第2部)合本版(新潮文庫)

騎士団長殺し(第1部~第2部)合本版(新潮文庫)

  • 作者: 村上春樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2020/12/18
  • メディア: Kindle版



ストーリーはある肖像画家の話です。
高名な画家が高齢のため施設に移ったため、主人公の同級生である息子の紹介でその家に住むことになります。
すると、屋根裏部屋で厳重に梱包された『騎士団長殺し』の絵が発見されます。
ここから様々な要素があれこれ出てきます。
夜中に鳴る謎の鈴、その鈴が安置されていた謎の石棺、絵の姿を借りて現れるイデアの騎士団長、謎多き近隣の住人、さらにその住人の娘かもしれない少女。
ざっくりいえば、少女が行方不明になり、その少女を救うために騎士団長を殺してメタファーの国を放浪したら石棺に飛び出てきて、そして少女は家に帰ります。
主人公は離婚予定だった妻とよりを戻します。
大きなくくりでいえば、行って帰る式の物語と言えると思います。
村上春樹の特徴である読みやすい文章と、ウィットに富んだ会話は健在です。ですが、絵の謎は自分的にはそれほど惹かれませんし、少女の行動も突飛すぎるような気がします。メタファーの国への旅立ちも唐突で、文学的には様々な意味付けがなされますが、純文学から縁の遠い人間には平坦に感じてしまうかもです。

村上春樹ファンのために!
posted by 齊藤 想 at 12:00| Comment(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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