2024年12月19日

【書評】子母澤寛『新選組始末記』

新選組に関する代表的資料と捉えられている子母澤寛の代表作です。


新選組始末記―新選組三部作 (中公文庫)

新選組始末記―新選組三部作 (中公文庫)

  • 作者: 子母沢 寛
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 1996/12/18
  • メディア: 文庫



子母澤寛は東京日日新聞の新聞記者でした。
本書は昭和3年に出版されますが、その少し前に東京日日新聞に「戊辰物語」が掲載され、その執筆に子母澤も関係していたと言われます。
昭和3年は戊辰戦争から60年後に当たります。当時を知る古老たちが現存しており、古老たちから聞いた話もふんだんに盛り込まれています。
様々な資料を比較したり、さらには逸話や別説も並べて書かれているので、新選組に関する代表的資料と目されるのも納得です。
特に近藤勇と妾の子である「お勇」の後日譚には引かれます。もっともたまたま汽車で一緒になった妾の元同僚から聞いたという話なので、ソースはあやふやですが。
こうした話も並行的に書かれているのが、本書の最大の魅力です。
本書は近藤勇を中心に描かれています。本書によると近藤勇は剣術はトップクラスとはいいがたいですが、人づきあいが良く、非理をわきまえた、とても魅力的な人物だったようです。
学術的に書かれた本ではないので、子母澤寛の創作も混じっていると言われています。
その点だけご注意を。

新選組について知りたいひとのために!
posted by 齊藤 想 at 12:00| Comment(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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