勝海舟の父であり、幕末の不良旗本だった勝小吉の自叙伝です。
勝小吉はエピソードに事欠きません。
子供のころから暴れん坊で、刀を持っての喧嘩をしたり、柔術の道場でいざこざから天井に縛られたので上から小便をぶちまけたりと、とにかくムチャクチャです。
大人になっても変わらずたびたび家を出奔し、道中で水戸家の家来をいつわって特別待遇を要求したり、路銀を巻き上げたりしています。
親に座敷牢に3年間も閉じ込められますが、その後も道場やぶりをしたり、吉原に遊びに行ったり、そこら中で借金を重ねたりと行状は改められません。
遊びの資金が不思議なのですが、刀剣の売買や様々な口利きをして稼いでいたようです。
もう完全にやくざの世界です。
もちろん就職活動も失敗し、一生無役のまま過ごします。
37歳のときに周囲に問い詰められて隠居するのですが、その夜にぬけぬけと吉原で一泊しています。
なんともかんともな人生ですが、晩年に反省し、後世の反面教師となるために残したのが本書です。
勝小吉は無学のため、当て字や誤字が多く、文体も話し言葉そのままです。
だけど、頭は良かったものと思われ、文章は読みやすく、様々なエピソードが上手にまとまっています。
ムチャクチャだけど、魅力的な人物だった。
そう思わせる一冊です。
不良旗本の一生で笑いたいひとのために!
2024年08月29日
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