昭和40年代に書かれた筒井康隆初期の短編集です。
一読した感想は、これこそ「ザ・筒井康隆」です。
筒井康隆というと、パロディやナンセンスというイメージがありますが、タブーをタブーとしない突き抜けた感じが好きです。
表題作の『ベトナム観光公社』は、ベトナム戦争が永遠に続き、戦争が観光資源になった時代というパロディ作品ですし、『最高級有機質肥料』は植物星人が人間の廃棄物をありがたかって貪り食う世界というバリバリの下ネタです。
『火星のツァラトゥストラ』はメディアと市民が、持ち上げるだけ持ち上げて飽きると捨てるという世相への皮肉ですし、『マグロマル』は目的のよく分からない会議をちゃかしています。
こうしたおふざけ要素満載の作品もあれば、『血と肉と愛情』といったカリバニズムをテーマとした不気味な話もあります。
『カメロイド文部省』は人類の欲望をモロに描きます。
筒井康隆を満喫できる一冊だと思います。
筒井康隆ワールドを堪能したいひとのために!
2024年07月30日
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