2024年06月27日

【書評】早坂隆『戦時演芸慰問団「わらわし隊」の記録~芸人たちがみた日中戦争~』

最前線までわらいを届けた慰問団の記録です。


戦時演芸慰問団 「わらわし隊」の記録 芸人たちが見た日中戦争 (中公文庫)

戦時演芸慰問団 「わらわし隊」の記録 芸人たちが見た日中戦争 (中公文庫)

  • 作者: 早坂隆
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2013/03/28
  • メディア: Kindle版



「わらわし隊」は日中戦争前期のときに、数回にわたって吉本所属芸人によって結成され、笑いに飢えた最前線の兵士たちに笑いを届けた慰問団です。
航空部隊が「荒鷲隊」と呼ばれていたので、「わらわし隊」はそのダジャレです。
数回にわたって実施されましたが、大規模なのは第1回と第2回で、どこの部隊でも大人気で、大変な活況だったようです。
当時の有名な芸人は「ミスワカナ・玉松一郎」「柳家金語楼」「横山エンタツ・杉浦エノスケ」「花菱アチャコ・千歳家今男」「石田一松」「ラッキー・セブン」などです。
Youtubeでいくつか見れますが、「ミスワカナ・玉松一郎」の夫婦漫才はミスワカナが様々な声や方言を使い分けて、上手いなあと思います。
「横山エンタツ・花菱アチャコ」(わらわし隊のときは解散していましたが)は、動きがコミカルで、いま見ても面白いです。
正史には残らないような記録を、断片的な情報を整理し、遺族やわずかに残る実際に見た兵士たちの証言を集め、当時の笑いを再現しています。
これは力作だと思います。

最前線で奮闘した慰問団の記録を知りたいひとのために!
posted by 齊藤 想 at 12:00| Comment(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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