2025年03月08日

【映画】ハリーポッターと賢者の石

原作・映画とも世界的大ヒットになったハリーポッター記念すべき第1作です。

ハリー・ポッターと賢者の石 [Blu-ray]

ハリー・ポッターと賢者の石 [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
  • 発売日: 2014/07/16
  • メディア: Blu-ray


ハリーは両親を事故で失い、叔母の家に預けられていました。
部屋は物置で、家政婦役をさせられています。
そのハリーの元に魔法学校からの手紙が届きますが、父親は焼き捨てて妨害します。
しかし、ひげの巨人はグリッドが迎えにきて、ハリーは魔法学校に入学します。
そこでハリーは、ロンとハーマイオニーという友人を得ます。
ハリーは有名人で、周りから特別扱いされます。
魔法の素質は抜群で、試合の選手に選ばれて活躍もします。正義感に強い描写も挟まれます。
そうした魔法学校の日々を描写しつつ、謎もしっかり提示されます。
キーは賢者の石です。悪い魔法使いのヴォルデモートが復活をもくろんでいますが、それには賢者の石が必要です。
賢者の石は魔法学校に奥深く厳重に守られていますが、それが危ないことをハリーたちは察します。
スネイプ先生が怪しいと察しをつけますが、ハリーたちが数々の困難を乗り越えて魔法学校の奥に行くとそこで待っていたのは……という映画です。
非常にバランスの良い映画だと思います。
ファンタジー映画なので魔法の表現も大事ですが、前半は魔法表現をメインにして後半は謎解きに主眼を置いています。後半では魔法学校の奥に侵入するという冒険要素もあります。もちろん冒頭の普通の少年から、魔法学校に入学するのは少年少女がだれもが憧れる変身願望です。さらに友情と冒険を通じた成長と、児童文学のありとあらゆる要素が盛り込まれています。
また、ただ要素を盛り込んだだけでなく、前半で様々な魔法の練習シーンがありますが、それらが後半の謎解きシーンに活かされるなど全体の構成もしっかり考えられています。
ロンとハーマイオニーは物語を通じて登場する重要キャラですが、児童文学らしくそれぞれ明確な役割分担がされています。
ハリーは正義感溢れ、幼いころに両親に死に別れたことで影を持つ少年。
ロンはお調子者で、魔法の素質は劣るユーモア担当の少年。
ハーマイオニーは努力家でまじめな少女。頭が良くて機転が利く。
本作は製作費1億25百万ドルを費やしましたが、興行収入10億22百万ドルと歴史にのこるレベルの大ヒットとなりました。
受賞こそ少ないですが、アカデミー賞4部門ノミネートなど、ノミネート多数です。

歴史に残るファンタジー映画を楽しみたいひとのために!
posted by 齊藤 想 at 21:00| Comment(0) | 映画評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

第51期岡田美術館杯女流名人戦第1局(福間女流名人VS西山朋佳女流三冠)

西山女流三冠が昨年度のリベンジに挑みます。

〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/joryumeijin/

女流名人戦は、女流棋戦で最も歴史のあるタイトル戦になります。
第1回優勝は蛸島彰子で3連覇、その後は山下カズ子4連覇と、もはや女流棋士制度創成期における伝説的な女流棋士の名前が見えます。
この女流名人戦で最も優勝回数が多いのが福間香奈で通算13期。
以下、清水市代10期、中井広恵9期と続きます。
西山朋佳はいまのところ1期のみですが、それでも6位タイです。
挑戦者決定戦が10人よるリーグ戦という特徴が、フロックでの挑戦を許さない仕組みになっているのかなと思います。
西山女流三冠が女流名人の奪取に成功すれば、通算2期で単独6位になります。
さあ西山女流三冠は、名人奪取に向けた白星を挙げることはできたでしょうか!

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/joryumeijin/kifu/51/joryumeijin202503080101.html

ということで将棋です。
本局は相振り飛車となりますが、後手福間女流名人の守りは、金が少し玉から離れる独特の構えです。
後手から2筋の歩を交換しますが、この歩を活かして先手西山女流三冠が後手陣に攻めかかります。
9二歩と香車を釣り上げてから5六角が手筋で、後手は受けるために角を手放すこととなります。
いかにも角がいじめられそうで、実戦的に苦しい局面に見えます。
攻めに活路を見出そうとした福間女流名人に対して、西山女流三冠は受けに回り余しにかかります。
しかし、ここから流れがおかしくなり、88手目に後手の負担だった角が捌かれては先手劣勢です。
先手陣で縦に並んだ2枚の金が、ただの壁になっています。
気が付いたら逆転、という将棋だったと思います。
そのまま108手まで福間女流名人が押し切り、14期目に向けて幸先のよい白星を上げました。

女流名人戦第2局は、3月16日(日)、島根県出雲市「出雲文化伝承館」で行われます!
posted by 齊藤 想 at 18:24| Comment(0) | 将棋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【書評】中野京子『名画で読み解く ブルボン王朝12の物語』

ブルボン王朝といえば、なんといってもルイ14世です。

名画で読み解く ブルボン王朝 12の物語 (光文社新書)

名画で読み解く ブルボン王朝 12の物語 (光文社新書)

  • 作者: 中野京子
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2010/05/18
  • メディア: 新書


ルイ十四世は太陽王と呼ばれましたが、若いころに宮廷舞台でアポロンに扮して踊ったことが由来だそうです。
意外でした。
当時のヨーロッパは王族同士の結婚が多く、かなり入り組んでいます。
『名画で読み解く ハプスブルグ家12の物語』と並べて読むと、逆側の立場もわかって、面白いです。
ブルボン朝は16世紀のアンリ4世から始まります。
アンリ4世の妻はメディチ家出身で、国家予算に匹敵する莫大な持参金を持ってきたためにフランスは助かります。
で、マリード・メディシスは平凡な女性なのですが、自らの人生を連作で描くようルーベンスに依頼して、困ったルーベンスは彼女の平凡な人生を神々に飾らせるという力技を発揮します。
なので、画面がなんか神々しいことになっています。ちょっと笑ってしまいます。
実際にはお親子喧嘩の末に幽閉・追放されるのですが。
息子のルイ13世時代に名宰相、リシュルーとマザランの手によってフランスは強大になり、その遺産を派手なルイ14世が継いだことでピークを迎えます。
このころの肖像画はマントを翻し、足を出していますが、この当時の脚線美は男性のものだったそうです。
知らない豆知識がたくさんです。
ここからが分かりにくいのですが、ルイ14世は長命で子孫が早世したので、あとを継いだルイ15世はひ孫です。
この2代で名宰相の遺産を完全に食いつぶし、ルイ15世の孫であるルイ16世の時代には首が回らなくなっています。
また、本人も平凡な能力だったそうです。
そうして革命によって逮捕され、マリーとともに斬首されてしまいます。
その後、混乱によって一時期王政は復活しますが、すぐにつぶされて、ブルボン朝は完全に終わります。
約250年の歴史でした。
ルイ14世の時代に、落日著しいスペインの跡継ぎ問題で介入し、孫を押し込むことに成功します。
この一族は直系こそ絶えたものの、母系を通じて現在のスペイン王へと続きます。
ブルボン朝はスペインで生き残ったといえるかもしれません。

中世ヨーロッパの歴史を知りたいひとのために!
posted by 齊藤 想 at 12:00| Comment(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする