2025年02月27日

【映画】交渉人

人質交渉人を主人公とした異色サスペンスです。

交渉人 [Blu-ray]

交渉人 [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
  • 発売日: 2017/03/03
  • メディア: Blu-ray


主人公は敏腕人質交渉人であるダニーです。演じるのはサミュエル・ジャクソン。
映画の冒頭で彼の手腕が描かれ(ヒーロー物と同じ構成)、それから本格的なストーリーに入っていきます。
ダニーは同僚から署内で警察年金の横領があることを知らされます。内務調査居局長のニーバウムも絡んでいるため、告発する先がありません。
その後、同僚は殺害され、主人公は仕組まれて同僚殺害と横領の犯人にされてしまいます。
主人公は身の潔白を証明するために、内務調査局に押し入り、人質を取って交渉を開始します。
交渉相手として指定したのは、署外の人間で敏腕人質交渉人として知られたセイビアンです。
セイビアンは犯人も人質も殺さないがモットーですが、警察はすぐに強行突入したがります。
セイビアンは警察を必死に止めますが、無視されます。
こうしたギリギリのせめぎあいの中で、ダニーとセイビアンは事件の真相に迫っていきます。
という感じの映画です。
実に面白い映画でした。
この手の作品は、敵が強ければ強いほど盛り上がりますが、なにしろダニーはひとりで警察全体を敵に回しています。
セイビアンも役割としては支援者ですが、警察側の人質交渉人なので単純に味方するわけではありません。むしろ敵側です。
しかしダニーとの共通性「無暗な突入を避け、人を殺さない」で結ばれているのと、警察の怪しげな動きで、ダニーのことを信じるようになります。
この、ダニーとセイビアンの信念を同じにするところが、設定として絶妙です。
映画の後半で、セイビアンは人質交渉人の役を下ろされます。
これが主人公の新たなピンチですが、そのおかげでセイビアンは現場を離れることが可能となり、それがダニーの脱出を助けます。
ピンチをチャンスにかえる。
この辺りの脚本、構成が絶妙です。
ミステリらしく、謎や秘密の開示が、断続的になされるのも良いです。
製作費50百万ドルですが、北米興行収入は45百万ドルと伸びていません。全世界の興行収入を加えても、おそらくは赤字でしょう。
この手のストーリーは、米国では受けないのかもしれません。
日本人的にはとても面白いです。

人質交渉人を主人公とした映画を楽しみたいひとのために!
posted by 齊藤 想 at 21:00| Comment(0) | 映画評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【書評】中野京子『画家とモデル 宿命の出会い』

画家とモデルというより、画家の人生に焦点をあてています。

画家とモデル: 宿命の出会い

画家とモデル: 宿命の出会い

  • 作者: 中野 京子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2020/03/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


取り上げられているのは18人です。
中世だと宮廷画家兼官僚として酷使されたベラスケス、破滅型の人生を送ったレンブランドもいますが、画家とモデルという意味ではサージェントとワイエスでしょうか。
サージェント(1856-1925)は肖像画家として活躍しましたが、生涯独身で、浮いた話もなく、絵と旅が人生のような生涯を送りました。
ところが、死後30年たって、情熱的な男性ヌード画が発見されて大騒ぎになります。
これぞ秘めたモデルとの恋です。
モデルというと美女ですが、ワイエス(1917-2009)が選んだのはヘルガという名前の普通の中年農婦です。
ヘルガが37歳のとにきモデルとしてスカウトして、15年間も描き続けました。
しかもその間、一切秘密にしていました。
すごく不思議です。
画家の人生としては、ヴァラドンとユリトロの母子も強烈です。母子とも画家ですが、人妻なのにユリトロが連れてきた画家仲間と恋に落ち、離婚して再婚してしまいます。息子の友達と結婚。なんだかなあ。
レンピッカは絵だけでなく人生も強烈です。

画家とモデルとの出会いについて読みたいひとのために!
posted by 齊藤 想 at 12:00| Comment(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする