2025年02月25日

【映画】バグダット・カフェ

主題歌『コーリング・ユー』が世界的大ヒットになった映画です。

バグダッド・カフェ ニュー・ディレクターズ・カット版 Blu-ray

バグダッド・カフェ ニュー・ディレクターズ・カット版 Blu-ray

  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • 発売日: 2010/06/26
  • メディア: Blu-ray


『バグダット・カフェ』は知らなくても『コーリング・ユー』を聞いたことのあるひとは多いと思います。
タイトルだけでは分からなくても、曲を聞けば「これか」と思います。
それだけ、インパクトのあるメロディーと歌詞です。
ということで映画ですが、舞台はラスベガスの郊外の砂漠地帯にあるバグダット・カフェ。
ここはカフェだけでなく、モーテルとガソリンスタンドも併設されています。何人かの常連客を相手に、細々と営業を続けています。
主人は中年黒人女性で、赤ん坊の孫もいます。
いつもイライラしていて、旦那に当たり散らして旦那は逃げています。
そんなカフェに、ドイツの中年女性が流れ着きます。彼女も旦那と喧嘩してひとりでここまで歩いてきたのです。
彼女は勝手に店の掃除をしたり、女主人の家族と仲良くなったりして、女主人をいらつかせます。
しかし、特技の手品で観客の心をつかみ、いつしか家族同然の扱いになっていきます。
ただビザの関係で労働はできませんし、滞在期間も限られます。
この問題を解決する方法として、常連客からプロポーズされるところで映画は終わります。
これ、通向けの映画かな、という感じがしました。
物語に抑揚があるわけではなく、基本的には淡々としており、舞台は一貫してバグダット・カフェの内部で終わります。
基本的には再生の物語で、バラバラだった家族が、ドイツ人女性という異分子が入り込むことで、新たな絆が生まれるという構成です。
ラストに向けて、細かいエピソードがひたすら積み重ねられていきます。
興行収入は伸びませんでしたが、何度か再上映されたそうで、根強い人気を持つ映画かと思います。

インパクト十分の名曲『コーリング・ユー』を映画の中で楽しみたいひとのために!
posted by 齊藤 想 at 21:00| Comment(0) | 映画評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【書評】中野京子『異形のものたち 絵画のなかの「怪」を読む』

中野京子による軽妙な絵画エッセイ、妖怪編です。


異形のものたち: 絵画のなかの「怪」を読む (NHK出版新書 651)

異形のものたち: 絵画のなかの「怪」を読む (NHK出版新書 651)

  • 作者: 中野 京子
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2021/04/12
  • メディア: 新書



本書は7章に分かれています。
人獣、ヘビ、悪魔と天使、キメラといった分かり易い妖怪もいれば、ただならぬ気配、魑魅魍魎、といった漠然とした章もあります。
妖怪と言えば、ヒロニムス・ボスでしょうか。
『快楽の園 地獄編』が紹介されていますが、枯れ木男とか、豚の修道女とか、奇妙な生物のオンパレードです。よくよく考えたら、1500年前後の絵なんですよね。センスに驚きです。
ボスの少し後になるブリューゲルも『反逆天使の堕落』でボスのような絵を描いていることを初めて知りました。
こちらは1562年です。
ボスと同世代のコジモ『森の火事』も不思議な味があります。逃げ惑う動物たちの中に、人面獣が潜んでいます。こちらは1505年ころの作品です。
インパクトといえば、アドルフ・モッサ『エル』も強烈です。童顔に巨乳の魔女。日本のアニメのようですが、これは1905年の作品です。

西洋絵画を違った視点で楽しみたいひとのために!
posted by 齊藤 想 at 12:00| Comment(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする