2025年02月18日

【映画】評決のとき

原作はベストセラー作家ジョン・グリシャムの同名小説です。

評決のとき [DVD]

評決のとき [DVD]

  • 出版社/メーカー: 日本ヘラルド映画(PCH)
  • 発売日: 1999/02/17
  • メディア: DVD


ある日、黒人少女が白人男性2名にレイプされて大けがを負います。
白人男性2名は差別主義者で、すぐに逮捕されますが、裁判の当日、父親が銃を持って乱入して射殺します。
近くにいた父親とは幼馴染の白人警官も跳弾で重傷を負い、片膝下を失います。
父親はもちろん逮捕されますが、この父親を弁護することになった若手白人弁護士と、検事が法廷で戦います。
というのがざっくりストーリーです。
白人弁護士を演じたのは若手時代のマシュー・マコノヒー、検事はケビン・スペイシー、父親はサミュエル・ジャクソンと名優がそろっています。
これ、日本人的感覚だと、ふに落ちません。
日本では私的制裁を認めていないので、父親の犯罪は明らかであり、有罪が妥当かと思います。
けどアメリカでは違うようで、父親を有罪にするかどうかで黒人団体と白人至上主義団体が激しくデモを繰り広げます。
特に白人至上主義団体はかなり異常で、弁護士宅を焼き討ちにするだけでなく本人の殺害を試みる、スタッフに暴行を加えて1名を殺害する、若手スタッフも拉致してつるし上げる。
もう無茶苦茶です。
日本にいるとピンときませんが、黒人社会と白人社会の断絶が、それほどまでにひどいということなのかなと思いました。
裁判も当然ながら検察有利で進みますが、最終弁論で白人弁護士がレイプされた少女の悲しい話をしているのかと思わせて、最後に「この少女は白人でした」で締めると、陪審員の評決はなぜか無罪になります。
このあたりの法律論がちょっとよく分かりませんが、日本とアメリカではかなり違うのかもしれません。
製作費40百万ドルで興行収入1億52百万ドルなので成功作だと思います。

名優三人の若き日の演技を楽しみたいひとのために!
posted by 齊藤 想 at 21:00| Comment(0) | 映画評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【書評】中野京子『名画の謎 陰謀の歴史編』

人気シリーズの第3段です。


名画の謎 陰謀の歴史篇 (文春文庫)

名画の謎 陰謀の歴史篇 (文春文庫)

  • 作者: 京子, 中野
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2018/03/09
  • メディア: 文庫



表紙を飾るのはドラローシュ『ロンドン塔の王子たち』です。
日本人にはなじみの薄い事件ですが、これは王位継承権をもっているばかりにロンドン塔に幽閉され、殺された幼い兄弟を描いた作品です。
17作品が紹介されていますが、時代が重なっているので、自然と歴史の勉強にもなります。
ラファエロ『レオ十五世と二人の枢機卿』の息子が法王になった時代に、ティッチアーノ『カール五世騎馬像』で描かれたカール五世によってローマは略奪されます。
カール五世の息子がスペイン王フェリペ二世ですが、ジョージ・カヴァー『エリザべス一世』のイギリス女王エリザベス一世によって、アルマダ海戦で敗北します。
デューラー『メランコリアⅠ』という有名作もありますが、レーピン『トルコのスルタンへ手紙を書くザポロージャ・コサック』が印象に残ります。
レーピンはロシアの歴史画で有名ですが、とにかく登場人物の表情の豊かさが絶品です。
敵からの降伏勧告に、下品な手紙で返すために口述筆記をしているワンシーンを描いています。

絵画と一緒に歴史の勉強もしたいひとのために!
posted by 齊藤 想 at 12:00| Comment(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする